− 主治医と使用人 −


主治医 南條(なんじょう)

 金蔵の主治医を務める老人で、右代宮家が六軒島に屋敷を構えた当時から親交のある数少ない友人でもあります。
 新島に病院を持つ開業医でしたが、優秀な息子が充分な修行を終えて帰郷したため、病院を譲り、現在は金蔵の主治医を務める以外は隠居の生活を送っています。
 また、金蔵のチェス仲間として古くから屋敷に出入りしており、右代宮の姓を持たず、かつ使用人でない唯一の人間とも言えます。
 激しい気性の金蔵に対し、彼は非常に穏やかに無言で聞き役に徹することができる落ち着いた性格です。そんな関係が気に入られたのでしょう。彼は金蔵と何度も喧嘩し、絶縁を突きつけられても、その度に金蔵側から謝り、交際は数十年も続けられてきました。彼も金蔵のそういう性分は理解しきっていて、彼がいくら怒鳴ろうと、大して気にしません。
 現在の金蔵は猜疑心の塊で、腹心の使用人しか自分の書斎に入れさせませんが、その唯一の例外が彼です。その為、親族たちは、金蔵の機嫌や、あるいは上申すべきことは彼を通すことも少なくなく、金蔵と息子夫婦の間に立つ緩衝材としての役割も期待されています。
 唯一の友人として信頼する金蔵ですが、彼の入院治療の薦めには一向に耳を貸そうとはせず、彼を嘆かせ続けています。
 金蔵の余命を3ヶ月と診断した彼は、遺産問題を巡る息子夫婦たちにことある毎に金蔵の健康状態を聞かれるので辟易しています。

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使用人 源次(げんじ)

 右代宮家に仕える使用人の頭です。六軒島に屋敷が建てられた当初から仕える最古の使用人でもあります。
 非常に寡黙で無口な彼は、主である金蔵に対する忠誠心も非常に高く、その当然の結果として、時に金蔵に、我が友と呼ばせるに至るほどの最大の信頼を受けています。しかし源次はそれに甘んじることは決してなく、日々の勤めを淡々と着実に果たし続けています。
 右代宮家では以前、使用人の派閥を巡ってトラブルがあったことがあり、金蔵が使用人たちに対し強い不快感を持ったことがあります。その時、自分の直属の使用人として、家紋である片翼の鷲をその身にまとうことを許しました。これにより彼は、右代宮家において、金蔵の代弁者である強い発言権を得、直轄の上司である金蔵以外には解雇ができないという特別な権利を与えられました。彼のそれまでの忠臣ぶりを考えればそれは当然のことなのですが、不幸にもその結果、息子夫婦からは、金蔵の手先・スパイのような印象を持たれ、敬遠されるようになってしまいました。金蔵の代弁者である彼は、金蔵が書斎に引き篭もった屋敷内では、金蔵の目も同然。息子夫婦たちからそう思われるのも無理ないことでした。
 息子夫婦は、金蔵が死去したら、金蔵のみに忠誠を誓った片翼の鷲の使用人たちを全て解雇しようと目論んでおり、それは彼の耳にも及んでいますが、彼はそのようなことはまったく気にも留めず、ただ淡々と日々の勤めをこなしています。

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使用人 紗音(しゃのん)
 右代宮家に仕える使用人です。若い彼女ですが、幼い頃から勤め始めているため、若さに似合わず10年近い勤続年数があり、源次に続く豊富な経験を持っています。ただ残念ながら、奥手で物事をはっきり言うのが苦手で、複数の仕事の優先順位を取り違えたり、ミスしたりすることのある彼女は、その長い勤続年数のわりに信頼を得ていません。
 彼女は、金蔵が莫大な援助を行っている孤児院、福音の家の人間です。右代宮家は、福音の家に対し、社会勉強の一環として使用人枠の開放を行っており、品行方正な院生に対し、使用人の受け入れを行っています。使用人生活は辛いものですが、高給のため人気があり、数年ほど勤めて充分な資金を稼いでから辞める院生が多いようです。しかし、その中でも彼女の10年という勤続年数は逸脱して長いものです。これは彼女の責任感がなすものではなく、単に内気な彼女が、退職を切り出せず惰性で生活を続けていることにも一因があるでしょう。
 緊張してしまうとミスの多い彼女ですが、普段は朗らかでやさしく、トキよりも先に保護すべき絶滅危惧種なほどの献身的女性です。また、福音の家からやってくる若い使用人たちの姉役として、大勢の院生に姉と慕われてもいます。
 金蔵は、自らが面接で採用し、自分だけに忠誠を尽くすことを確認した福音の家出身の使用人たちには特別な信頼を置いており、片翼の鷲の家紋をまとうことを許しています。そのことは、気の毒にも家紋を許されぬ家人や使用人にやっかまれる原因ともなっています。
 令嬢の朱志香とは歳が近いこともあり、交流があります。

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