− 右代宮家 当主 −


右代宮 金蔵 (うしろみや きんぞう)

 伊豆諸島の小島、六軒島を領有する大富豪、右代宮(うしろみや)家の当主です。
 本来は分家の出身でしたが、関東大震災で本家筋が全滅したため、急遽、当主に抜擢され、にもかかわらず天才的博才で動乱の時代を泳ぎ抜き、没落した右代宮家をわずか一代で立て直してしまった、歴代屈指の名君でもあります。
 若き日には、非常に聡明でユーモアに富んだ好男児だったと言われますが、老齢となり猜疑心が肥大し、誰にも心を許さない乱暴で気難しい人物となってしまいました。特に、自分が蓄えた莫大な財産を息子たちが狙っていると疑っており、同居する息子夫婦や孫にすら心を許さず、自分の書斎にほとんど引き篭もっています。
 昔から大の西洋被れで、息子や孫たちに洋風の名前や趣味を強いてきました。その延長なのか、黒魔術などのオカルト趣味に傾倒していると言われ、書斎に引き篭もり続け、怪しげな研究や実験を繰り返しているようです。その為、書斎からは酷い異臭がいつも漏れ出し、家人の眉をひそめさせています。
 しかし、そんな老当主が猜疑心に凝り固まり、趣味に明け暮れ、書斎に閉じ篭って出て来ないでくれるのは、家人たちにとっては案外、気楽なことだったのかもしれません。
 しかし、過度の飲酒癖が祟り、主治医には昨年から余命3ヶ月を宣告されたままの状態です。にもかかわらず金蔵が独占する莫大な財産や家督の相続問題はまったく話し合われておらず、親族会議でも重要課題とされ、息子たちをやきもきさせています。

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