「彼岸花の咲く夜に」作品紹介

『彼岸花の咲く夜に』のご紹介
「めそめそさんが出たんだって」

	「めそめそって泣いてたのを聞いたんだって」
“めそめそ、めそめそ。そこのあなた、哀れな私の話を聞いて下さいな。”

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……くすくす、こんな怪談、知ってる？　あるいは、貴方の学校にもこんな怪談があるかしら？
あぁ、ご挨拶が遅れてごめんなさい。ようこそ、私たちの「学校」へ。歓迎するわ。

…あるいは、ニンゲンをやめられておめでとう？　貴方はきっと、信じないでしょうけど、
この世界はニンゲンだけのものではないわ。だから、「おめでとう」。この世界に出会えて。

怖がらないでいいわ、貴方の世界のほんの少し見えないところに私たちは
いつもいるの。教室、廊下、保健室、校庭……。でも、こんなに近くに見えるなんて、
貴方はとても幸運よ。

くすくす、………ふぅん。人間をやめる覚悟はあるってわけね。私の
友達にも、そう言ってこちら側にきた子がいたわ。でも、あとはすべて貴方次第。
生きるも、死ぬも、抗うも、貶めるのも……。

	さぁ、行きましょう。踊る彼岸花の手を取って。残酷だけれど美しい世界へ、彼岸花の世界へようこそ…。
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“めそめそ、めそめそ。そこのあなた、哀れな私の話を聞いて下さいな。”